開放的な空間を演出するために設けられる吹き抜けですが、住宅のプロである建築士という目線で見るとマイナスポイントが非常に多いです。
今回の記事では『なぜ吹き抜けがオススメでないのか』その理由について紹介していきます。
なぜ吹き抜けを設けるのか
そもそもなぜ吹き抜けを設けるのでしょうか?
最大の理由は開放的な空間を作るため、そして2階などの上階からでも下の階の雰囲気を感じ取れるから。ではないでしょうか?
実際吹き抜けを計画すると、開放感に満ち溢れ、下の階のリビングなどと吹き抜けを通じてつながった部屋は一体感が生まれ家族間の繋がりを感じさせてくれます。
また、吹き抜けに設けた窓からは明るい光を室内にふんだんに取り入れることができるので、非常にメリットが感じられます。
では、なぜここまで言っておきながら私は吹き抜けをおすすめしないのでしょうか?
吹き抜けの弱点
私が吹き抜けをおすすめしない理由は3つあります。
ひとつずつ一緒に確認していきましょう。
構造的に虚弱な建物になる
吹き抜けを設けるためには、2階や3階などの床を抜いていきます。
そうすると自然と床がない部分は構造的に弱くなり、吹き抜け以外のほかの部分に耐震補強を行ったりする必要がでてきます。
空調の効きが悪くなる
吹き抜けがあると空調(冷房や暖房)がどんどん吹き抜けから逃げていきますので、空調が効きにくくなります。
空調の効きを少しでも改善するため、吹き抜け部にファンを設けたりして、空気を循環させるための工夫が必要となってきます。
壁紙の貼り替えなどが困難になり余分な費用がかかる
吹き抜け部分は高天井となりますので、照明器具の取替えや、クロスの貼り替えに足場を組む必要があり、通常では必要のない諸経費が掛かってきてしまいます。(新築でもリフォームでも)
吹き抜けに床を作る増築工事
よく吹き抜け住宅の方がされるリフォームがこの『吹き抜けを閉じる増築工事』です。
部屋数が足りなかったり、空調の効きが悪いからと理由は様々ですが、たくさんの方から相談をいただきます。
そのために建築確認申請いう手続きが必要であったり、大掛かりな工事となったりします。
さいごに
いかがでしたか?
ぱっと見はとてもメリットがあるような気がする吹き抜けですが、本当に吹き抜けは必要か?とよく考えてみましょう。
ちなみに吹き抜けに設けた窓には、ほこりが溜まりやすく、掃除もできないので潔癖な方は絶対に避けましょう。