こんにちは!一級建築士のおしゃべり建築士です。
古い建物の吹き付け建材や、珪藻土商品からアスベスト(石綿)が検出されたりして、たびたびニュースとなっています。
今回はこのアスベストについて紹介していきます。
アスベストとは
アスベストとは、建築に使用されていた石材(蛇紋石や角閃石)を繊維状に細かくなった綿のような材料です。
石でありながら綿のような性質を持つことから、石綿とも呼ばれています。
石を繊維にしたものなので、火に強く耐火性能に優れており繊維の中に空気を含んだ性質から断熱性能も有しており、建築現場でよく使用されていました。
しかし、このアスベストは人体に有害なシロモノということが後々判明し、現在はアスベストの使用、アスベストを0.1%以上含んだ材料の使用が禁止されています。
アスベストの有害性
アスベストは非常に繊維が細かく、軽いことから空気中に拡散する性質があります。このアスベストの粉塵を人が吸い込むと、肺に蓄積されがんなどを引き起こす原因になると言われています。
アスベストの大きさは0.3ミクロンほどといわれています。
ただし、このアスベストは吸い込んですぐに健康被害が発症するというものではありません。何か月~何年もの期間アスベストに触れることで健康に被害が生じると考えられています。
また、一時的にアスベストを吸い込んでも基本的には、たんなどに混じって体外へ排出されます。
アスベストが使われていた建材
アスベストは、大規模な建物の防火被覆として多く使用されていました。
住宅にはあまり被覆材として使用されることはありませんが、住宅の屋根材であるカラーベストなどの成型屋根材にアスベストが含まれていた時期があります。
実際に家で生活するうえで、アスベストに触れる機会はありませんので、大きな心配をする必要はありません。
アスベスト(石綿)とロックウール(岩綿)
アスベストに似た建築材料で、ロックウールという製品があります。
アスベストは石綿といい、ロックウールは岩綿と呼ばれています。
名前も似ているし、ロックウールの発がん性への安全性について心配されるかたも多いと思います。
ロックウールは今でも建築の現場で使用されており、私たちの生活するような住宅でも、壁の中の断熱材として使用されています。
しかし安心してください。ロックウールにはアスベストのような発がん性はありません。
その理由は繊維の大きさです。
アスベストの大きさは0.3ミクロンなのに対して、ロックウールの大きさは5ミクロン前後であり、肺の奥に入り込んで人体に悪さをするような大きさではないからです。
さいごに
近年、家の中で使われるような珪藻土製品に使用上限を超えたアスベストが使用されていたことで、大きな社会問題となりましたが、実際にはアスベストが含まれていたとしても、空気に拡散するような破損や研磨をしなければ、大きな心配は必要ではありません。
また先に述べたように、アスベストは長期間吸い込むことで人体への影響がありますので、これもそこまで心配しなくても大丈夫です。
巷に流れるうわさに支配されることなく、なぜ危険なのかをしっかり理解し、適切に対応したいですね。