こんにちは!『一級建築士』おしゃべり建築士です!
住宅建築の候補地選びのポイントの1つに排水の処理方法があります。
その排水方法とは、大きく分けると『浄化槽』と『下水道』の2種類です。
≪下水と浄化槽はどちらがお得なの?
≪どちらかを自由に選べるの?
≪どうやって決めたらいいの?
このような疑問を解決します。
浄化槽と下水道の違い
トイレの排水である汚水やその他排水である雑排水の排水処理の方法には、下水道に排水する方法と浄化槽に排水する方法の2通りしかありません。
※汚水は汲み取り式トイレ、雑排水は側溝へ垂れ流しという選択肢も法律的には可能ですが、ここでは割愛します。
この2つの排水方法のうち、どちらの処理方式を選定できるかは、地域によって決まっています。
下水道というものは、行政(〇〇区役所や△△市役所)が整備を行い、使用できるようになるからです。
つまり、下水道が整備されてない場合、下水道へ接続のしようがない(接続できない)ので、必然的に浄化槽を選択することになるのです。
下水道への接続
行政により下水道が整備され、水洗トイレを設けた際、下水道に必ず接続しなければならない区域のことを下水道共用区域と呼びます。
下水道の共用区域内のすべての汚水は、必ず下水道へ接続しなければなりません。
つまり下水道接続の一択ということです。
では、そもそも家の付近まで下水の本管がきていない場合(下水道共用区域外の場合)はどうなるのでしょうか。
浄化槽への接続
下水道が整備されていない下水道共用区域外について、汚水は浄化槽を設置・経由して排水することが定められています。
行政による下水道の整備がされていない場合、水洗トイレは、下水道へ繋ぎたくても接続することができませんので、この場合浄化槽を設置する必要があります。
つまり浄化槽設置、接続の一択ということです。
なお、下水道の未整備地域で排水を行う場合、浄化槽の設置が必要となりますが、汲み取り式便所(ボットン便所)のように汚水を敷地外に排水しない場合、浄化槽の設置は必要ありません。
【結論】浄化槽と下水道を選ぶことはできない
ここで重要なのが、家の付近まで下水の配管がきているか否かで接続する先が決まる。ということです。
建築主が自由に浄化槽か下水道かの選択をすることはできません。
下水道区域であれば必ず下水道に。
下水道区域外であれば必ず浄化槽に接続が必須となります。
それぞれの長所と短所
では下水道と浄化槽それぞれの特徴を確認していきましょう。
下水道
メリット
<初期費用が安い>
浄化槽と違い、配管を接続するだけですので、初期費用が抑えられます。
また、維持管理に関しても事業者である行政等が行ってくれますので気にする必要はありません。
デメリット
<水道費用に比例して毎月の使用料がかかる>
使用料・維持管理費として、水道料金と同様に使用料が毎月発生します。
<災害時などのリスクがある>
行政が管理する下水道の本管が災害等により破損した場合、使用できなくなったり、逆流の可能性があります。
浄化槽
メリット
<毎月の管理費が不要>
浄化槽の管理者は自分自身であるため、毎月に維持管理費は不要です。
年間の定期点検や清掃は必要ですが、余計な費用がかかりにくく家計にやさしいです。
<災害時の利用の可能性>
浄化槽は公共のものではなく各家庭の敷地内に個別に設置されることから、万一の災害時にも浄化槽自体が破損していない限り、使用することが可能です。
デメリット
<初期費用がかかる>
浄化槽を設置するための費用がかかります。
また、万一の故障時や毎年の点検、清掃費は建築主負担となります。
おすすめは下水道
わたしは個人的には下水道のほうがいいと思っています。
毎月水道料金に比例して、下水道使用料金かかりますが、維持保全を業者(行政)がすべて行ってくれますので、万一の際も安心です。
また、浄化槽は大きさにより処理能力が異なるため、建築当初の計画から増築や接続建物の増加によって、処理排水が増加した場合、新たに浄化槽を入れなおすようなリスクを持っています。
しかし、災害時には下水管の破損などでトイレの使用ができなくなったり、汚水の逆流というリスクを持っていることも忘れてはいけません。
そもそも自由にどちらかを選ぶことができないので、お持ちの土地や購入予定地によって左右されると考えたほうがいいですね。
さいごに
以上汚水の排水施設について紹介させていただきました。
いかがでしたか?
予定外の費用がかかる浄化槽という存在がありますので、これから土地を探されるかたは、一つの目安にしていただければと思います。
どちらも一長一短ですので、どちらが自分の生活にあっているかぼんやりと検討してみてください。